書評
吉野相英 監訳―臨床てんかんnext step
山内 俊雄
1
1埼玉医科大学
pp.556
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102743
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精神科医のてんかん離れが言われて久しい。確かに,精神科医に代わって小児科医や神経内科医,脳神経外科医がてんかん診療に関わるようになり,精神科医の関与が減っている。しかし,ある調査によれば,精神症状を併発している場合や知的障害や行動面の障害のあるてんかん患者の診療には困難を感じると答える小児神経科医や神経内科医が多いという(渡辺雅子ら,てんかん研究,2013)。このことは,精神科医の関与なくして適切なてんかん診療はできないことを意味している。
「臨床てんかん next step」は,TrimbleとSchmitzによって編集されたThe Neuropsychiatry of Epilepsy, Second Editionの邦訳である。Michael Trimbleはロンドンで,Bettina Schmitzはベルリンで長くてんかんの精神症状に関わってきた研究者である。北米大陸と異なり,ヨーロッパのてんかん学は精神医学と神経学が密接な関係を持って発展してきたこともあって,日本のてんかん学と共通する考え方も少なくない。
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