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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
アメンチア―せん妄以外の意識変容
Amentia
前田 潔
1
Kiyoshi MAEDA
1
1神戸学院大学総合リハビリテーション学部
1Kobegakuin University School of Rehabilitation, Kobe, Japan
キーワード:
Delirium
,
Amentia
,
Twilight state
,
Confusion
,
DSM
Keyword:
Delirium
,
Amentia
,
Twilight state
,
Confusion
,
DSM
pp.327-329
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102698
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はじめに
比較的軽い意識混濁に精神運動興奮,幻覚,錯覚,行為心拍様症状など,さまざまな精神症状が加わった状態を意識変容という。せん妄(derilium)が代表的なものであるが,本稿ではせん妄以外の意識変容について解説する。意識変容にはせん妄のほか①もうろう状態(twilight state),②思考散乱と困惑を伴うアメンチア(amentia),③外界の認知が急激に低下し,思考や行動にまとまりを欠く錯乱(confusion),④夢幻状態(oneiroid state,dreamy state,夢幻症,夢様状態,夢幻様体験型)などがある8)。
知覚,注意,認知,思考,判断,記憶などの精神活動が正常に行われる場を意識という。ドイツ学派ではこの意識の障害を混濁,狭窄,変容の3つに大きく分けている。英米学派では混濁と変容を厳密には分けていない。意識変容では一般には思考の錯乱が最も目立つ。知覚も混乱し,知覚と表象(観念)が区別されなくなる。夢のような空想的な,また要素的な幻覚が現れる。注意は分断され持続性が失われる。感情も秩序性,連続性が失われることがほとんどである。意識狭窄に簡単に触れた後,意識変容について述べる。
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