Japanese
English
研究と報告
併存疾患を伴わない身体化障害にduloxetineが奏効した1例
A Case of Somatization Disorder without Comorbidity Successfully Treated with Duloxetine
本間 正教
1
,
加藤 秀明
1
Masanori HONMA
1
,
Hideaki KATOU
1
1須田病院
1Suda Hospital, Takayama, Japan
キーワード:
Duloxetine
,
Somatization disorder
,
Somatoform disorder
,
Comorbidity
,
Chronic pain
Keyword:
Duloxetine
,
Somatization disorder
,
Somatoform disorder
,
Comorbidity
,
Chronic pain
pp.1085-1092
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102600
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抄録
10年間の長期にわたり多彩な身体症状を呈した33歳,女性の身体化障害の治療経過を報告した。22歳時に口腔領域の痛みで発症し,生理痛,眼痛,運動器と消化器の疼痛に加え,泌尿器症状や,さらにめまい,しびれ,体の震えなどの神経学的症状を訴え,多くの身体科を受診したが,ほとんどは原疾患を特定できず,対症的治療もしくは経過観察であった。ICD-10,DSM-Ⅳの厳格な診断基準を満たしており,詳細な診察,聴取からもうつ病や不安障害,人格障害の合併や併存は認めなかった。簡単な疾患教育に加えてduloxetineの単剤投与をしたところ,疼痛,しびれ,めまい,体の震えを主とする症状が著明に改善しduloxetineはきわめて有効であった。身体化障害は身体表現性障害のうちの1つであり,有効な薬物はなく寛解が稀な疾患とされるが,duloxetineは慢性ないし心因性疼痛が著明で,他の精神疾患の併存が目立たないタイプの身体化障害には有用な薬物療法である可能性が考えられた。
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