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DuloxetineとMirtazapineの併用によって躁状態および軽躁状態を呈した2症例
Duloxetine-mirtazapine Combination Therapy Induced Mania/Hypomania: Report of two cases
多田 幸司
1
Koji TADA
1
1神保町メンタルクリニック
1Jimbocho Mental Health Clinic, Tokyo, Japan
キーワード:
Duloxetine
,
Mirtazapine
,
Mania/Hypomania
Keyword:
Duloxetine
,
Mirtazapine
,
Mania/Hypomania
pp.79-82
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102364
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はじめに
うつ病に対し最初に用いる抗うつ薬が有効な割合は決して高くない。最初の抗うつ薬が無効であった場合,次のステップとして抗うつ薬の変更,増強,併存療法などが試みられる。合理的な治療継続アルゴリズムを検証するStar*D研究プロジェクト8)では,レベル4としてセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor;SNRI)であるvenlafaxineとmirtazapine(MRT)の併用療法が紹介されている。この2剤の併用は,venlafaxineによるセロトニンとノルアドレナリンの再取り込み抑制作用と,MRTによるセロトニンおよびノルアドレナリン神経に存在する抑制性α2受容体遮断の相乗作用が期待される9)。異なった作用機序を有する抗うつ薬の併用は,抗うつ薬変更による中断症候群や効果発現の遅れといった欠点を補う注目すべき方法である。しかし,モノアミン神経伝達の著しい促進は,(軽)躁状態の発現といった注意すべき副作用を引き起こす可能性がある。
Duloxetine(DLX)はvenlafaxineと同様SNRIであるが,セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害作用はvenlafaxineに比較してきわめて強力である2)。
今回,筆者は,DLXとMRTの併用により(軽)躁状態を呈した症例を2例経験した。この2症例について報告しDLXとMRT併用療法に対する注意を喚起したい。
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