巻頭言
災害精神支援学
高橋 祥友
1
1筑波大学医学医療系災害精神支援学
pp.660-661
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102217
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私がこの巻頭言の執筆依頼を受けたのは,10年間勤務した防衛医科大学校を退職し,2012年4月に開設される筑波大学医学医療系災害精神支援学講座に勤務することが決まった頃であった。講座名からも明らかなように,この講座が新設される契機となったのは東日本大震災であるので,まずその概要を振り返ってみよう。
2011年3月11日14時46分に,宮城県牡鹿半島沖を震源として大震災が発生し,わが国の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した。地震の被害は岩手県沖から千葉県沖までの南北約500km,東西約200kmの広範囲に及んだ。この地震によって発生した大津波が,東北地方から関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。また地震の揺れや液状化現象,地盤沈下などによって,特に岩手,宮城,福島,茨城,千葉県の太平洋岸の広大な範囲で被害が発生し,ライフラインも寸断された。ピーク時の避難者は40万人以上にのぼった。本論執筆時点では,震災による死者・行方不明者は計2万人弱とされている。
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