書評
―飛鳥井 望 編―最新医学別冊 新しい診断と治療のABC70―心的外傷後ストレス障害(PTSD)
井上 新平
1
1高知大学神経精神科学教室
pp.442
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102162
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この度の東日本大震災と原発事故に際しては,広範な被災者支援活動が取り組まれたが,中でも心のケアについては自治体や学協会による組織的支援活動が行われ,地元からもずいぶんと評価されてきたようである。今後とも長期にわたる支援が必要であるが,中でもPTSDへの対応が重要とされている。
PTSDの概念のわが国への定着には,1995年の阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が契機となった。以後,基礎的・臨床的知見が着実に積み上げられ,概念の普及ではマスコミが大きな役割を果たした。本書は,現時点でPTSDについての内外の最新知見を包括的かつ平易に紹介したものである。全5章で,概要から始まり,PTSDの生物学,治療法,各種イベント,子どものPTSDから構成される。執筆者は各分野の第一人者17人で,PTSD研究のトップに立つ飛鳥井望先生が編纂された。
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