特集 よくわかる! 精神疾患対応 これ1冊―内科医と精神科医の連携のために
第4部 知っておきたい精神疾患 各論2:不安症・強迫症・ストレス性疾患
5 心的外傷後ストレス症(PTSD)と急性ストレス症(ASD)
森信 繁
1
1広島国際大学健康科学部心理学科
pp.162-166
発行日 2024年3月26日
Published Date 2024/3/26
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000675
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Summary
1.外傷体験後から1か月以内のストレス性精神疾患は急性ストレス症(ASD)であり,体験後1か月を経過した時点で初めて心的外傷後ストレス症(PTSD)と診断される.
2.PTSDの一般人口を対象としたわが国の生涯有病率は1.3%程度であり,外傷体験後のストレス性精神疾患の多くは自然治癒する.
3.ASD,PTSDの治療としては,抗不安薬による不安やオレキシン受容体阻害薬による不眠の治療に加えて,安全・安心な環境の提供が重要である.
4.外傷体験後の身体的・心理的状態の時間的変化を,被災者(患者)に伝えることは初期対応として重要である.
5.外傷体験後の不安に対して,抗不安薬による治療のみでなく呼吸法や漸進的筋弛緩法などのリラクゼーション法も有効である.
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