Japanese
English
短報
多囊胞性卵巣症候群を合併したてんかんの1症例
A Case of Epilepsy in a Female Patient with Polycystic Ovary Syndrome
宿南 憲一
1
,
神近 哲郎
1
,
小坂 浩隆
1
,
小俣 直人
1
,
村田 哲人
1
,
折坂 誠
2
,
和田 有司
1
Ken-ichi SHUKUNAMI
1
,
Tetsuro KAMICHIKA
1
,
Hirotaka KOSAKA
1
,
Naoto OMATA
1
,
Tetsuhito MURATA
1
,
Makoto ORISAKA
2
,
Yuji WADA
1
1福井大学医学部病態制御医学講座精神医学領域
2福井大学医学部器官制御医学講座産科婦人科学領域
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medical Sciences, University of Fukui, Fukui, Japan
2Department of Obstetrics and Gynecology, Faculty of Medical Sciences, University of Fukui
キーワード:
Polycystic ovary syndrome
,
Epilepsy
,
Valproate sodium
Keyword:
Polycystic ovary syndrome
,
Epilepsy
,
Valproate sodium
pp.663-666
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101918
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はじめに
多囊胞性卵巣症候群polycystic ovary syndrome(以下,PCOS)とは,卵巣の外膜が肥厚し,排卵されない未熟な卵胞がその内部に集積して月経異常や不妊を来す進行性の婦人科疾患で,罹患率は生殖年齢女性の5~8%と高い疾患である10)。従来はてんかんに偶然合併する疾患と考えられてきたが,近年,両者の間には視床下部・下垂体―卵巣系を介する密接な関係があることが示され,偶然の合併でないことに加えて,PCOSは子宮内膜癌や耐糖能異常などを併発する頻度が高いことなどのさまざまな問題が指摘されている3,9)。また,sodium valproate(以下,VPA)投与によって2次的にPCOS様状態が発生することもあり,この変化は可逆性であることが報告されている4,5)。その一方で,我々が検索する限りでは,VPA投与を中止してもPCOSが消退しなかったという邦文報告はない。そこで本稿では,VPA投与中止後もPCOSが持続したてんかんの1症例を示し,てんかんとPCOS,抗てんかん薬とPCOSの関連について文献的考察を行った。
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