Japanese
English
シンポジウム 気分障害の生物学的研究の最新動向─DSM,ICD改訂に向けて
気分障害の分子神経生物学
Molecular Neurobiology of Mood Disorders
加藤 忠史
1
Tadafumi KATO
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チーム
1Laboratory for Molecular Dynamics of Mental Disorders, RIKEN Brain Science Institute, Wakou, Japan
キーワード:
Mood disorder
,
Depression
,
Bipolar disorder
,
Molecular neurobiology
Keyword:
Mood disorder
,
Depression
,
Bipolar disorder
,
Molecular neurobiology
pp.373-381
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101846
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はじめに
国民の社会生活障害の大きな要因となっているうつ病の患者数は,近年急速に増加し,社会問題となっている。抗うつ薬によく反応するメランコリー型に加え,抗うつ薬により悪化する双極スペクトラム,抗うつ薬が奏効しにくく心理療法も重要となる非定型うつ病,難治化しやすい血管性うつ病など,治療抵抗性のうつ病が増加し,うつ病診療は混沌とした状況にある。一方,抗うつ薬により,攻撃性,衝動性が高まる,「賦活症候群」が引き起こされるのではないか,との懸念が繰り返し報道され,一部には精神医療バッシング的な動きさえ見受けられる。抗うつ薬による悪化を防ぐためには,双極性障害における初発の大うつ病エピソードを,その生物学的基盤に基づいて診断できるようにすることが必要であるが,面接による現在の診断法には限界があり,今後,分子神経生物学的な病態に基づいて,気分障害の疾患概念と亜型分類を確立し,生物学的な診断分類に基づいて治療を最適化する必要がある。
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