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特集 高次脳機能障害をめぐって
高次脳機能障害の概念をめぐって
On Higher Brain Dysfunction
鹿島 晴雄
1
Haruo KASHIMA
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Keio University, School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Higher brain dysfunction
,
Functional system
,
Reorganization of functional system
Keyword:
Higher brain dysfunction
,
Functional system
,
Reorganization of functional system
pp.945-949
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101710
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高次脳機能障害の概念と診断
近年,高次脳機能障害という用語も定着し,特集のテーマに取り上げられるようになったが,本来,高次脳機能障害という用語は,行政用語として注意,記憶,遂行機能などの狭い意味での機能障害に対して用いられたものである。本稿では,高次脳機能障害を行政用語としての狭い意味ではなく,神経心理学的障害という意味でより広くとらえていることをお断りしておく。また近年の神経諸科学のめざましい進展と高次脳機能障害の医療,研究との関連については,筆者の及ぶところではなく,本特集の他の論考をお読みいただきたい。
ここでいう広義の“高次”脳機能を,筆者は“意味にかかわる”機能と考える。たとえば,発声や構音は意味にかかわらない機能であるが,言葉を発することは意味に関係している。運動は意味にかかわらないが,パントマイムや手指で道具を使うことは意味にかかわる機能である。視覚や聴覚は感覚であるが,それらを介して対象を知覚すること,すなわち視知覚や聴知覚は意味にかかわる機能である。“意味にかかわる”これらの機能の障害である“高次”脳機能障害は,従来よりそれぞれ失語,失行,失認と呼ばれてきた。さらに,記憶,随意的注意,遂行機能の障害などいずれも意味にかかわる機能の障害である。そしてこれらの高次脳機能障害は,その診断や評価に,以下の意味で精神医学的アプローチが欠かせないものである。
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