書評
―西村良二 編著―研修医のための精神科診療の実際
小島 卓也
1
1大宮厚生病院
pp.309
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101599
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本著は医学部卒業直後に臨床研修医として精神科研修を行う医師を対象にしているが,専門医研修のための精神科医にも役立つ実践の書である。精神科の臨床は,生物学的,心理学的,社会的なアプローチが統合的に行われる点で他科と異なっているが,それを明確に理解できるようにわかりやすく構成されている。編著者は「治すこと」「癒すこと」「よりよく生きること」の3つを柱としており,主として「治すこと」が薬物療法,「癒すこと」が精神療法,そして「よりよく生きること」がリハビリテーションに対応するとしている。全部で25項目,それぞれの項目は4~6頁以内に簡潔にまとめられていて読みやすい。
この種の実践書の中で精神療法に重きをおいてかなりのスペースを割いているものは少ない〔精神科面接(1―項目の番号),予診と現症(2),患者心理の理解(3),精神療法(4)これらの合計が19頁〕。編者は,患者が現実生活の中で葛藤や不安,怒り,罪悪感,自己疑惑などに苦しみ,医師との関係性の中で自分を見つめ直したい,癒されたいという気持ちを抱いており,それに答えるのが精神療法であり,「癒す」ための重要な技術と位置づけている。
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