巻頭言
医療観察法の将来像
松原 三郎
1
1松原病院
pp.1144-1145
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101532
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「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下,医療観察法)」は,2005年7月15日から施行され,今年で4年を経過した。2008年12月末日までに1,330件の申し立てが行われ,審判の結果は,入院決定60%,通院決定19%,不処遇決定18%,却下3%である。また,12月末現在で通院処遇となった対象者は450人で,このうち,直接通院235人,入院からの移行通院215人,処遇終了66人,再入院4人である。
法の第1条(目的)にあるように,「その病状の改善及び同様の行為の再発の防止を図る」という点では,過去4年間に数名の対象者が傷害事件を起こしているが,これまでの措置入院で認められたように2年以内に40%近くが再入院してきた状況と比較すると,その効果は目を見張るものがある。医療観察法は確かに「病状の改善と再犯の防止」に大きな成果を上げている。それでは,医療観察法は,わが国の精神医療と司法体系の中で確固たる地位を得たといえるのだろうか? 実際には多くの課題が積み残されたままであり,根本的な問題も含めて再検討すべき部分が多いと感じている。
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