巻頭言
重複障害時代のリハビリテーション“Adding Life to Years”から“Adding Life to Years and Years to Life”に
上月 正博
1,2
1日本リハビリテーション医学会
2東北大学医学系研究科内部障害学分野
pp.584
発行日 2016年8月18日
Published Date 2016/8/18
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- 文献概要
21世紀に入り,慢性心不全患者や慢性腎臓病患者といった「安静が治療」であった対象でも,「運動療法が機能を改善し寿命を延ばす治療」であるというコペルニクス的転回を遂げ,リハビリテーション(以下,リハ)の対象者が劇的に増加した.超高齢社会では多疾患による重複障害者が増え,重複障害リハのニーズが高まっている.
しかし,リハのガイドラインは,原則的に単一疾患・障害を対象としているため,重複障害者に対するリハの実施に関して,臨床現場では戸惑いがみられる.例えば,心不全,呼吸不全,関節疾患を合併しているためにリハを積極的に行わない脳卒中症例,透析のためにリハを行わない心疾患症例,呼吸不全を合併し「少し動いただけで息苦しいので運動器リハを中止する」ためにリハが進まない運動器疾患症例の存在などである.
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