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はじめに
「社会的ひきこもり」の概念が提唱されてほぼ10年になり4),現在では,フリーター・ニート問題とも関連して一般用語としても流布するようになった9)。これら思春期青年期問題の援助には,さまざまなプログラムを継続して利用できるシステムが重要になってくる3)。地域精神保健の役割として,本人や家族を社会の中で孤立させず,「社会に出て行けるまで待つこと」を保証し,彼らが自らの生活を楽しめるような環境を整備していくことが必要となる。
滋賀県立精神保健総合センターは1992年に開設され,診療部(主に病院部門として外来および入院病棟を受け持つ),社会復帰部(主にデイケアを行う),地域保健部(主に精神保健福祉センター業務を行う)の3部門からなる。医療に関しては診療部が担い,保健福祉に関しては地域保健部が担当し,公的機関として医療・保健福祉トータルとして援助していきやすい土壌が作られている。地域保健部では,1998年度より不登校・ひきこもり対策として,家族に対しての個別相談,本人に対しての心理士・保健師による心理面接を始めた。相談件数が激増したことから,1999年から家族への心理教育とエンパワーメントの場として「ひきこもり家族教室」を開講し,教室修了者に対しての継続的なフォローとして「家族交流会」という場を提供してきた。
2003年には20歳以上の社会的ひきこもりの子を持つ親の会「とまとの会」が自助グループとして立ち上がり,当センターもサポートしていくこととなった。
これまで,家族教室の評価やひきこもり症例の経年的な変化についての調査研究は数少ない。そこで今回,家族教室終了後の家族・本人の状況を把握することで教室事業の評価を行い,今後のひきこもり対策の一助としていくことを目的に,郵送によるアンケート調査を実施したので報告する(滋賀県立精神保健総合センターは地方公営企業法全部適用にて,2006年4月から,滋賀県立精神保健福祉センターと滋賀県立精神医療センターに分かれた)。
The Shiga Prefectural Mental Health Care Center has been organizing family consultations since manifesting social withdrawal syndrome 1999. To understand the effect of such consultations, hand-written questionnaires have been collected from anonymous participants through the post. Ninety percent of socially withdrawn people were male, and their average age at the beginning of the withdrawal was eighteen. Over 70% had had an experience of school refusal. Fifty percent of the population answered that they saw some improvement. Although more than 60% of the people in the relatively young age group of 16 to 25 year-olds reported some improvement, but those in the late-twenties and above group seemed to be more stagnant. About 90% of the people answered that the consultations were helpful because they seemed to improve their understanding of social withdrawal and allowed them to feel sympathy and support from other participants who had the same problem.
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