書評
―上島国利,樋口輝彦,野村総一郎,他 編―気分障害
佐藤 光源
1
1東北大学
pp.931
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101285
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気分障害圏の病気で苦しんでいる人は多く,なかでもうつ病患者は約300万人と推定されている。それに双極性障害やいわゆる神経症圏のうつ状態,気分変調症などを加えると気分障害圏の患者数は膨大で,しかもその多くが未治療のまま苦しんでいるのが現状である。国民の健康寿命を損なう代表的な原因疾患がうつ病であることがWHO健康レポート(2001)で明らかにされ,わが国で毎年3万人を超える人が自殺していることも,気分障害がいかに大変な病気であるかということをよく物語っている。しかし,今では薬物療法と心理社会的療法を組み合わせた治療法が長足の進歩を遂げ,完全な回復を期待できるようになっており,気分障害に関する適正な知識の普及啓発と最適な医療の推進による患者の救済が急がれている。
そうしたなかで,“気分障害のエンサイクロペディア”を目指した本書が上梓された。そこには,読者が知りたいと思う諸問題がいまどこまで解明され,何がまだ解明されていないのか示されており,気分障害に関するアップデイトな情報が豊富に盛り込まれている。
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