書評
―野村総一郎,樋口輝彦,尾崎紀夫 編―標準精神医学(第4版)
佐藤 光源
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1東北福祉大大学院精神医学
pp.926
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101496
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学びやすさと斬新さ
これまでの精神医学の教科書はどちらかというと難解な印象の専門書が多く,医学生や研修医,一般臨床家にとって読みやすく理解しやすいものは少なかった。しかし,この『標準精神医学(第4版)』には,精神医学は難解なものという既成概念を打ち破る斬新な工夫が凝らされており,それが本書の大きな特長となっている。
初版は1986年に医学書院「標準教科書シリーズ」として上梓されたが,特定の学問的立場に偏らない標準的な内容で,医学生・研修医の要望に応えるものであり,さらに医師国家試験の参考書として役立つことをめざして編集された。この基本方針は版を重ねた今回も変わることはないが,この第4版はかなり大幅に改訂されている。それは,読み物的な色彩を持たせるという基本方針が加わって,とても読みやすくなったことである。それには編者とともに執筆担当者の多くが世代交代して若返ったことも関係しているようで,各章の初めに学習目標とキーワードを示し,章の終わりに重要事項を箇条書きで要約しているが,それらに目を通した後で本文を読むといっそう理解しやすい。
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