Japanese
English
ミニレビュー
統合失調症における認知機能障害とシナプス前タンパクcomplexin
Hippocampal Complexin Proteins in Schizophrenia:Relevance to cognitive dysfunction
澤田 健
1
Ken SAWADA
1
1高知県立芸陽病院
1Geiyo Hospital, Aki, Japan
キーワード:
Cognitive dysfunction
,
Complexin
,
Presynaptic protein
,
Schizophrenia
,
Hippocampus
Keyword:
Cognitive dysfunction
,
Complexin
,
Presynaptic protein
,
Schizophrenia
,
Hippocampus
pp.179-186
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101138
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
統合失調症において,認知機能障害はしばしば発病前に始まり,生涯にわたって一貫して存在し,中核症状として考えられる6)。統合失調症死後脳の病理には,さまざまな神経マーカーの変化が確認されているにもかかわらず,その病理学的重症度と生前の認知機能との関連を確認した研究はほとんどない。統合失調症の認知機能障害を考えた場合,シナプスにおける機能障害が大きな役割を果たすと考えられる。死後脳を用いてシナプスの異常を研究するとき,死後変性に比較的強いシナプス前タンパクの研究が有望な候補として挙げられる8)。筆者はシナプス前神経終末に存在するシナプスタンパクの役割を明らかにするための死後脳研究を行ってきた。本稿ではまず,死後脳研究におけるシナプス前タンパク研究の背景,complexin(CPLX)タンパクの機能,分布の概略を述べる。そのあと,2005年に発表した論文“Hippocampal Complexin Proteins and Cognitive Dysfunction in Schizophrenia”19)を紹介し,今後の研究の展望を述べたい。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.