書評
―アラン・ホブソン 著,村松太郎 訳―ドリームドラッグストア―意識変容の脳科学
渡邊 衡一郎
1
1慶應義塾大学
pp.1277
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101126
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これまで数多の研究者達が精神病の発症メカニズムについて唱えているが,本書の中で筆者は,これについて理解するための最もよいアプローチ方法は,正常人の精神病とも言うべき夢の神経生理学的メカニズムを知ることであると書き,精神病症状や夢,依存性物質による精神症状を中心にさまざまな意識変容について述べている。
Delay,Denikerがクロルプロマジンの抗精神病効果を発表したのが1952年,翌年にREM睡眠が発見され,奇しくもこの時期に非合法な幻覚剤による意識変容がアメリカで流行したという。1950年代前半に注目を集めたこの3要素について,筆者はきわめて明快に,またそれが違和感なくしっくりと理解できるように関係づけて論じている。この分野における第1人者である筆者ならではの造詣の深さが感じられ,評者は読後改めて脳機能に対する関心が深まった。
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