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特集 オグメンテーション療法か,多剤併用療法か
オグメンテーション療法か,多剤併用療法か―PET研究の結果から
Augmentation Therapy or Combination Therapy?:From the view points of PET findings
大久保 善朗
1
Yoshiro OKUBO
1
1日本医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Nippon Medical School
キーワード:
Augmentation therapy
,
Combination therapy
,
Positron Emission Tomography
,
PET
,
Dopamine D2 receptor
,
Serotonin transporter
Keyword:
Augmentation therapy
,
Combination therapy
,
Positron Emission Tomography
,
PET
,
Dopamine D2 receptor
,
Serotonin transporter
pp.629-634
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100769
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はじめに
Positron Emission Tomography(PET)による分子イメージングは放射性同位元素で標識した化合物(トレーサー)を生体に投与し,その経時的動態や分布を体外計測する技術である。分子イメージング技術の進歩により,現在では,さまざまな神経伝達物質受容体やトランスポーターを生きているヒトで評価することが可能になっている。抗精神病薬,抗うつ薬などの向精神薬は中枢神経の神経伝達物質受容体やトランスポーターに作用する。PETによる分子イメージング技術の進歩によって,向精神薬の中枢作用をPETにより評価し,向精神薬の薬効や副作用の発現機序を理解する試みが進んでいる。
PETを用いた分子イメージングにより薬剤の脳内作用を評価する方法としては,生体内で受容体またはトランスポーターに結合する薬剤がどの程度受容体に結合しているかを,PETトレーサーの特異結合の減少度を占有率として評価する方法が用いられている14)。しかしながら,現在のところ,本特集のテーマであるオグメンテーション療法あるいは多剤併用療法について調べたPET研究はほとんどないのが現状である。本稿では,受容体またはトランスポーター占有率を指標とする統合失調症およびうつ病治療のPET研究を概説するとともに,それらのPET所見を考慮したうえで,オグメンテーション療法および多剤併用療法の是非について論じる。
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