Japanese
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特集 オグメンテーション療法か,多剤併用療法か
抗精神病薬のpolypharmacy―アメリカでの現状
Polypsychopharmacy in the United Sates of America
斉藤 卓弥
1
Takuya SAITO
1
1日本医科大学精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Nippon Medical School
キーワード:
Augmentation therapy
,
Polypharmacy
,
America
,
Antipsychotics
,
Antidepressants
Keyword:
Augmentation therapy
,
Polypharmacy
,
America
,
Antipsychotics
,
Antidepressants
pp.635-640
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100770
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はじめに
アメリカでは,精神科医のための初期臨床薬理学トレーニングの中で,抗精神病薬は単剤使用することが原則であることが繰り返し教育される。同一の作用機序を持つ薬剤の併用が,単剤による治療と比較して有効であるというevidenceは限られており,現在も単剤による疾患の治療がアメリカでの抗精神病薬の使用の原則である。一方では,近年欧米では,患者の症状の改善だけではなく,寛解が治療の目標として求められるようになり,単剤による精神疾患の寛解が困難なことから原則とは異なったpolypharmacyが日常的に行われるようになった。Polypharmacyに関して系統だった臨床試験が少なく,非合理的なpolypharmacyが行われていることもしばしばある。非合理的なpolypharmacyは,副作用の増加など患者へのリスクを高めるだけでなく,保険会社からの厳しい規制もあり,最近のpolypharmacyの増加に対して危惧を抱く精神科医の声も大きくなってきている。日本でも抗精神病薬のpolypharmacyおよび過剰投与が問題視されるようになってきている9)。
この論文では,アメリカにおけるpolypharmacyの現状について述べ,アメリカにおけるpolypharmacyに対する是非と不必要なpolypharmacyを減らすための試みについて概説する。
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