Japanese
English
研究と報告
大阪池田小事件の報道被害の現況とその要因
Present State and its Factors of Media Victim about School Attack in Osaka
小山(冨永) 明日香
1
,
南山 浩二
2
,
大島 巌
1,3
,
岡 伊織
3
,
桶谷 肇
3
KOYAMA(TOMINAGA) Asuka
1
,
Koji MINAMIYAMA
2
,
Iwao OSHIMA
1,3
,
Iori OKA
3
,
Hajime OKETANI
3
1東京大学大学院医学系研究科精神保健学教室
2静岡大学人文学部社会学科
3全国精神障害者家族会連合会
1Department of Mental Health, Graduate School of Medicine, University of Tokyo
2Shizuoka University, Faculty of Humanities & Social Sciences
3The National Federation of Families with Mentally Ill in Japan
キーワード:
Media victim
,
rauma
,
IES-R
Keyword:
Media victim
,
rauma
,
IES-R
pp.723-731
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100692
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録
大阪池田小事件の約1か月後に,全国の統合失調症患者本人(以下:対象者本人とする)(436名)とその家族(388名)・精神科医師(229名)に対して郵送法で質問紙調査を行い,事件報道による生活上の変化や心理的・身体的影響とその要因を明らかにした。その結果,対象者本人も家族も病気や障害について深く考え悩むことが増えたり,人間関係に支障を来すなどの影響が見られた。影響は概して家族よりも対象者本人のほうが大きかった。また,生活上の変化と心理的・身体的ストレス反応に関しては,家族が対象者本人を観察して気づいた影響は,対象者本人が実際に感じている影響よりも小さかった。外傷後ストレス症状の尺度であるIES-Rを用いたところ,対象者本人で15.7%,家族で12.0%がカットオフポイント(24/25)を超えていた。IES-R得点は,本人では若年層が有意に高く,家族では男性が高い傾向がみられた。また,報道を積極的に見た群では見ていない群よりもIES-R得点が有意に高かった。症状としては,回避症状がもっとも高かった。本研究で明らかになった報道被害の可能性を根拠に,今後は慎重な報道を積極的に促す必要性があるだろう。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.