書評
―傅田建三著―子どものうつ病―見逃されてきた重大な疾患
広瀬 徹也
1
1神経研究所附属清和病院
pp.560
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100666
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
子どもにうつ病はあるのか,あるとしても大人のそれとは違った様相を呈するのではないかなどが長年論議されてきたが,なかなかコンセンサスが得られなかった。その意味で本書ははなはだ挑戦的であり,画期的ともいえる。学術雑誌や気分障害に関する単行書の章には登場しても,子どものうつ病が表題の書下ろしの単行書はわが国では初めてではないかと思われるからである。外国でもそれはまだ少ない部類に属する。専門の児童・青年期領域だけでなく,成人の臨床精神医学でも幅広く仕事をされている傳田健三博士ならではの快挙といえよう。
最近また受診者が増えてきた不登校の子ども達に,軽症ではあっても内因性うつ病を合併している例が多いことに印象付けられた著者が,勤務する北海道大学病院をこの5年間に受診した児童・青年期例のカルテを調査したところ,17歳以下の全410例中111例(27%)がDSM-Ⅳの気分障害に該当したことがこの著作のスタートとなっている。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.