書評
―Theodore A. Stern,他編集/兼子直,福西勇夫監訳―MGH「心の問題」診療ガイド
堀川 直史
1
1東京女子医科大学神経精神科
pp.561
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100667
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書は,Massachusetts General Hospital(MGH)のStern TAらが編集し,主にMGHの医師たちによって執筆された「The MGH Guide to Psychiatry in Primary Care」(1998年)の全訳である。
本書は,原書が「プライマリケアにおける精神医学ガイド」と名づけられているように,本来は米国のプライマリケア医のために書かれたものであり,多くの章が精神科医と他科の医師の連名で執筆されている。このようなプライマリケアにおける精神医学の充実は,現在の日本の医療においても,新卒後研修制度で精神医学が必修科目とされたことからもわかるように,もっとも重要な課題のひとつであるといえるであろう。
本書の特徴は,多彩な問題が網羅的に取り上げられていることである。章の数は78に達し,その中には,例えば「うつ病患者へのアプローチ」や「不安を抱く患者へのアプローチ」などのような比較的一般的なテーマから,「人生の悲嘆に暮れる患者へのアプローチ」や「暴力的な患者へのアプローチ」,さらには「著名人患者へのアプローチ」まで多くの問題が含まれている。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.