特集 母と子をまもる保健婦
看護参事官から手紙
重大な母子保健の問題
金子 光
1
1厚生省
pp.5
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201850
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先日いただいたお手紙の封筒の表に「要返」と書いておいてついそのまま次々とでて来た用事に追われて忘れていて,今日他のものを探していてフト発見し,「悪かつた…」と心にあやまりつつ夜帰宅すると急いで今ペンをとつたところです.すみませんでした.「忙しい」は決して理由にならないそうで,それは怠け者の言い分だそうですから怠け者にきめられないうちに善を急ぎましよう.
最近若い人達が,生理休暇は女性の特権といつて,何の苦痛もないのに,そして病院が困るのも患者にめいわくがかかるのも考えないでどしどし休んで困つているということをきいて心を痛めている時でしたので,同じ位若いあなたが,明けても暮れても村のために,その人々の健康をまもることに心を砕いていられる様子を知つて,本当に救われた思いがすると同時に,明るい気持になりました.公衆衛生の活動がこれから重点をかけていかなければならないものに母子保健の問題があることは,あなたの村の実態でも気がついていらつしやるようですね,東京のような大都会では.乳児が保健所を利用する回数は,年間にやつと1.7回が32年度の平均になつていますし,乳児の一斉検診の受診率は52.7%ということです.あなたの村のそれらと比較してどうお思いですか? 特に幼児ときたらお話にならない位です.乳児については受ける側も,相談をもちかける側も関心があるほうですが,幼児についてはおよそ無関心なのが従来の実態です.
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