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私のカルテから
緊張病症状を呈する悪性症候群に電気けいれん療法は有用である
Electroconvulsive Therapy is Useful for the Neuroleptic Malignant Syndrome with Catatonic Behavior
長嶺 敬彦
1
,
池田 まな美
1
,
和田 方義
1
Takahiko NAGAMINE
1
,
Manami IKEDA
1
,
Masayoshi WADA
1
1清和会吉南病院
1Seiwakai-Kitunan Hospital
pp.557-559
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100665
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悪性症候群は精神科薬物療法における重大な副作用の1つである。治療は原因薬物を中止し,十分な輸液とダントロレンの投与が一般的である。悪性症候群で著しい精神症状を伴う場合は,薬物の投与が制限されるため治療に苦慮することがある。今回,緊張病症状を呈する悪性症候群に,電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy;以下mECTと略す)を行い,悪性症候群および精神症状の急速な改善を認めた症例を経験した。mECTでの麻酔方法に今後の検討が必要であるが,緊張病症状を伴う悪性症候群にmECTは有効である。
症例
45歳,男性,統合失調症。身長162cm,体重52kg。
生来小心で内向的な性格であった。高校卒業後特に問題なく会社勤めをしていた。21歳のとき,理由なく出社できなくなり,終日会社の寮に閉じこもり始めた。独語,空笑もみられ,家族に伴われ精神病院に入院した。以後,精神病院に入退院を繰り返した。自閉的傾向はあるが,ここ1年は1日の内服がピモジド2mg,ブロムペリドール10mg,プロペリシアジン50mg,レボメプロマジン30mg,ニトラゼパム10mgで安定し,外来通院していた。今回の入院3日前よりUFOが落ちたと言い,防波堤に登ってUFOを呼ぶ動作が出現した。周囲との疎通性が乏しくなり,入院2日前から全く食事を取らなくなった。入院前日には38℃の発熱と常同姿勢,流涎が出現し,翌日緊急入院となった。なお過去に悪性症候群,高血圧の既往はない。
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