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私のカルテから
初期統合失調症症状が優勢であった初発統合失調症患者にquetiapineが有効であった1例
A Case Study of First Onset Schizophrenia with Early Schizophrenia Symptoms Treated with Quetiapine
谷口 和樹
1
,
高澤 紀子
2
,
蓮江 邦夫
2
Kazuki TANIGUCHI
1
,
Noriko TAKASAWA
2
,
Kunio HASUE
2
1筑波大学人間総合科学研究科
2済生会鴻巣病院
1Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba Graduate School, Tsukuba, Japan
2Saiseikai Kounosu Hospital
pp.1133-1135
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100338
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はじめに
統合失調症患者において,自生思考,記憶表象,聴覚過敏といった特徴的な症状がしばしば幻覚妄想などに先行して出現することがある。中安らはこれらの症状を独立した疾患群ととらえ,初期統合失調症と定義づけた11,13)。また中安らは,これら初期症状には高力価抗精神病薬は必ずしも有効でないとしたうえで,sulpirideの有効性を論じている12)。さらに近年では非定型抗精神病薬であるquetiapineの有効性にも言及している13)。
今回我々は思春期初発の統合失調症患者の初期統合失調症症状において,quetiapineが自生思考,視覚表象,聴覚過敏といった初期統合失調症症状に比較的に奏効した1例を経験した。この知見は非定型抗精神病薬の薬理学的プロフィールの違いを示唆している可能性があると考え,ここに報告する。
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