書評
うつ病論の現在―精緻な臨床をめざして
大森 健一
1
1滝澤病院
pp.344
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100240
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私が精神科医になった1960年代は躁うつ病に対する臨床精神医学的,精神病理学的研究も,テレンバッハのメランコリー親和型に触発された病前性格論,あるいは発病状況論や疾病構造論などで結構盛んであった。森山公夫先生,笠原嘉先生,木村敏先生などの論文に大いに刺激を受けたものである。
その後躁うつ病に対する神経伝達をめぐる研究が盛んになった。ある先輩に「精神病理をやっている君には悪いけど,うつ病はわかっちゃったよ」とからかわれたのを記憶している。その後1970年代の後半から,当時の華やかな精神分裂病論を意識する一方で,このような生物学的精神医学界の動向を背景に「躁うつ病の精神病理」シリーズが計5巻,1987年まで刊行されたが,その後は途絶えてしまった。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.