巻頭言
画像検査と精神科診断
大久保 善朗
1
1日本医科大学
pp.1162-1163
発行日 2005年11月15日
Published Date 2005/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100132
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1980年,私が入局した教室では,「なぜ精神科を選んだのか?」という題の作文の提出が義務づけられていた。精神科医なら誰もが一度は受けたことのある問いだろう。私は,「検査値に基づいて身体症状のみを診療する身体医学よりも,複雑で曖昧模糊としてとらえがたい心の動きを診療の対象にする精神医学に興味を感じる」と書いた覚えがある。
精神科研修を始めた教室は,生理学的研究や生化学的研究が盛んに行われる一方で,精神病理学を専門とする指導医も多く,バランスの取れた恵まれた研修環境であった。精神病理学を身につけようと,同期の研修医とドイツ語やフランス語の古典の輪読会を開いた覚えがある。当時の教室の集談会や症例検討会では哲学的な議論に接することがしばしばあったが,理解できないことも多く,自らは精神病理学には向いていないと諦めた。
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