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てんかん患者にみられる精神病は多彩な病態からなるが,現在なお国際的に広く認知されたてんかん精神病の分類体系はない。これまでに報告されたてんかん精神病の分類は,一つあるいは少数の分類基準を採用しているため,同じ分類カテゴリーの下に不均質な病態が存在することがあった。てんかん精神病の発症には生物学的および心理社会的要因が密接に関与していると考えられ,このような複雑な病態に対して,個々のてんかん精神病像を正確に把握し,適切な治療法を選択するためには,臨床的な情報のすべてを逃さず記述する多軸診断が適当と思われる。われわれは新たに記述的な多軸分類を提案し,多施設共同研究により128例のてんかん精神病例に適用して,その有用性を確認した。第1軸は,てんかん要因をコードした。てんかん類型は国際分類に従い,側頭葉てんかんが多かったが,すべてのてんかん類型がみられた。焦点側は脳波所見を基本とし,左側焦点と右側焦点がほぼ同頻度であった。第2軸は,精神病要因をコードし,精神病の定義とその類型はICD-10に準じた。妄想型精神分裂病様精神病,妄想性障害,急性一過性精神病性障害の順で多く,幻覚症や緊張病性障害は少なかった。経過類型は,単一エピソード,反復性経過,慢性経過がほぼ同頻度であったが,一部に反復性エピソードの後に慢性経過を示す例があった。
Psychoses in patients with epilepsy show wide heterogeneity in terms of clinical phenomenology. Because the etiology of epileptic psychosis is still unclear, its classification has become a working hypothesis. We propose a new multiaxial classification system and have conducted a multicenter validity study. Psychoses are defined by the ICD-10 criteria and 128 patients with epileptic psychoses were recruited. The first axis is the type of epilepsy and the laterality of the epileptic focus. The International Classification of Epilepsies is used for epilepsy classification.
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