連載 栄養精神医学・9
精神科における亜鉛欠乏と血液検査の解釈
奥平 智之
1,2
1医療法人山口病院 精神科
2日本栄養精神医学研究会
pp.424-429
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200648
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「亜鉛欠乏うつ」を問診票で見抜く
亜鉛はストレスと密接に関係している。亜鉛欠乏の状態はメンタル不調を引き起こしやすくなる。この事実を患者さんにわかりやすく伝えるために、亜鉛欠乏症に伴ううつ状態を「亜鉛欠乏うつ」*1と名付け、亜鉛欠乏のチェックをしてもらっている。
亜鉛は、細胞分裂に必要なミネラル。そのため、舌にある味蕾・嗅覚系組織・腸管などの粘膜、皮膚や赤血球、前立腺や精子、記憶に関係する海馬の神経など、細胞の入れ替わりが早い組織で不足しやすい傾向がある。性ホルモンに必要なので、女性では月経不順、男性では精力減退につながり、精子の量やテストステロンが低下する。また、免疫力を高めたり、創傷の修復促進にかかわったりしている。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.