Japanese
English
特集 リエゾン精神医学の現状と課題
救命救急医療における精神医学―自殺者の増加を背景とした精神科医の役割
Psychiatry at Critical Care and Emergency Center:Increasing suicide and a role of psychiatrist
山田 朋樹
1,2
,
河西 千秋
2
,
長谷川 花
2
,
佐藤 玲子
2
,
小田原 俊成
2
,
杉山 貢
1
,
平安 良雄
2
Tomoki YAMADA
1,2
,
Chiaki KAWANISHI
2
,
Hana HASEGAWA
2
,
Ryoko SATO
2
,
Toshinari ODAWARA
2
,
Mitsugu SUGIYAMA
1
,
Yoshio HIRAYASU
2
1横浜市立大学附属市民総合医療センター
2横浜市立大学医学部精神医学教室
1Yokohama City University Medical Center, Critical Care and Emergency Center
2Department of Psychiatry, Yokohama City University School of Medicine
キーワード:
Suicide
,
Liaison-consultation
,
Crisis intervention
,
Emergency center
Keyword:
Suicide
,
Liaison-consultation
,
Crisis intervention
,
Emergency center
pp.869-876
発行日 2005年8月15日
Published Date 2005/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100088
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はじめに
横浜市立大学では,1990年に救命救急センターが開設され本格的な救命救急医療がスタートした。当時すでに本学では研修医の2年間のローテート研修が義務づけられており,1990年から救命救急センター研修も必修化された。診療科相互の敷居が低く,救命救急センターと精神科とのかかわりは初めから密であった。当初は,せん妄患者の治療,精神疾患を持つ入院患者の精神症状評価と対応,あるいは薬剤調整の指導といった業務が中心であった。救命救急センターからのコンサルテーションは,他の病棟と比較して多い。しかし,たとえば過量服薬による自殺企図で在院期間が1日のみの患者においては,わずか1度の診察機会しか持てないこともあるため,精神科医―患者関係は希薄になりがちである。自殺者・自殺企図者に最前線で対応しているのは,身体科医としての救命救急医療スタッフである。彼らは,これらの患者に対して身体的な救命処置のみでは済まされないことを以前から肌で感じており,精神科医と常時,密接な連携を持ち治療に当たることの必要性を実感している。本学では精神科から考える必然性と,この救命救急センターからの要請により,現在救命救急センターに精神科医の常勤ポストが置かれている。今後,心の領域も含めた「救急医療における包括的な医療の実践」が必要であるという認識はますます高まってくると考えられる。このような現状を踏まえ,コンサルテーション・リエゾン領域における精神科医として,救命救急センターで取り組むべき役割について,以下に総括し考察を加えた。
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