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はじめに
1997年11月米国ワシントンDCにおいて公表された「高血圧の予防,診断,評価と治療に関する米国合同委員会による第6次報告書;JNC—VI」1)において,その第4章「合併症を伴う高血圧患者」の一つとして睡眠時無呼吸が取り上げらttた.JNC-VIは,米国において4年ごとに発表される高血圧症の治療ガイドラインであるが,このJNC-VIに閉塞性睡眠時無呼吸(obstructiveSleep apnea;OSA)が記載されたことによって,肥満高血圧,難治性高血圧2),あるいは夜間高血圧(non-dipper)3,4)の患者においてOSAの合併を疑う臨床医が増えるものと期待される.
一方,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA syn—drome;OSAS)は肥満者に多く,インスリン非衣存性糖尿病(noninsulin-dependent diabetesmellitus;NIDDM)の合併例が少なくない5).さらにインスリン抵抗性(または高インスリン血症)よOSASの予後の規定因子である虚血性心疾患(ischemic heart disease;IHD)や脳血管障害などの動脈硬化性疾患の原因としても注目されつつある6〜8).また,OSAS患者はその主訴の一つである日中の過度な眠気(昼間過眠)によって摂食・了動異常を生じやすく,過食あるいはカフェイン含有飲料の摂取過剰(缶コーヒー症候群)に陥っていることがある9).そのため,OSASは肥満に関連した昼間過眠を伴う成人病(生活習慣病)の重症例といっても過言でない.生活習慣病(lifestylerelated disease)は,「食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒などの生活習慣が,その発症,進行に関与する疾患群」と定義される.われわれは,「いびきは生活習慣病の黄色(注意)信号の点滅,閉塞性睡眠時無呼吸は赤(危険)信号の点滅状態である」と警告している.
そこで本稿は,生活習慣病としてのOSASについて,特に高血圧症に関連した最新の話題を紹介する.
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