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特集 循環器疾患の治療における持効性製剤の意義
利尿薬・剤
Diuretics
谷口 茂夫
1
,
黒川 清
1
Shigeo Taniguchi
1
,
Kiyoshi Kurokawa
1
1東京大学医学部第1内科
1The First Department of Internal Medicine, The University of Tokyo
pp.1069-1072
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910039
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はじめに
利尿剤とは狭義には尿細管に作用し,ナトリウムや水の再吸収を抑制して,尿量を増やす薬剤をさす。強心配糖体やキサンチン誘導体などは糸球体濾過量を増すことにより尿量を増やすが,狭義の利尿剤にはあてはまらないので,本稿では扱わない。今日利尿剤として広く用いられている薬剤として,浸透圧利尿剤,炭酸脱水素阻害剤,サイアザイド系利尿剤,ループ利尿剤,カリウム保持性利尿剤等がある。循環器疾患の治療は,強心配糖体やニトロ剤に加えて,近年のカルシウム拮抗剤,交感神経遮断剤,アンギオテンシン変換酵素阻害剤等の開発に伴い,めざましい発展を遂げたが,利尿剤は,心不全や高血圧の治療に依然として重要な役割を果たしている。
本特集のテーマである持効性製剤とは,(1)血中または作用部位での薬物濃度を長時間治療濃度範囲に維持して薬効発現時間を延長すると同時に副作用を軽減し,その薬物の通常薬剤の有効性・安全性を向上させること。(2)通常製剤より投与頻度を減少させて,患者や投薬者の負担を軽減し,患者のコンプライアンスを改善して薬物治療の効果を確実にすることの2点を目標としてつくられる製剤である1)。したがって,狭義には持効性製剤とは木来即効性の薬剤に対しその剤型を変えることにより持効性を持たせた製剤を意味する。一方,利尿剤には抗アルドステロン剤やサイアザイド剤のように通常の剤型でも比較的作用発現が遅く,その効果が長時間持続するものも多い(表1)2)。したがって,本稿ではそれらの本来持効性の利尿剤をも含めて解説する。
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