今月の主題 呼吸不全とその管理
特殊な病態下の呼吸管理の実際
成人呼吸促迫症候群(ARDS)
加藤 幹夫
1
1高槻赤十字病院
pp.644-645
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220897
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ARDSとは
ARDS(adult respiratory distress syndrome;成人呼吸促迫症候群)とは,1967年にPettyらがはじめて独立の症候群として提唱した概念1)であって,IRDS(infantile respiratory distress syndrome;新生児呼吸促迫症候群)に類似した症状が,各種の肺または肺以外の臓器に対する侵襲を契機として,元来健常であった成人に重篤な急性呼吸不全が惹起されることからこのように命名された.その症状としては,高度の呼吸困難,通常の方法での酸素吸入では改善されない重篤な低酸素血症,および胸部X線上での両側性びまん性浸潤陰影などが出現するのが特徴であって,肺の病理所見として無気肺,毛細血管うっ血および肺胞内への浸出と硝子膜形成などが認められる.
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