巻頭言
血管医学の展望—スタチンとACE阻害薬のPleiotropic効果に関して
倉林 正彦
1
1群馬大学医学部第二内科
pp.549
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902478
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血管医学は最近の医学研究のなかでもっとも大きな展開を見せている領域の一つである.「血管は生体における最大の臓器である」との概念が定着してすでに10数年がたっていると思うが,血管新生療法や再生医学への期待とともに,さらに加速的な勢いで新たな知見が集積されている.特に分子生物学や細胞生物学の進歩によって,血管内皮細胞,血管平滑筋細胞の遺伝子発現調節や細胞分化,脱分化の複雑な過程が解明されつつある.
言うまでもなく疾患の予防と対策にはその疾患の病態生理の理解が必須であり,血管研究は,血管病の有効な治療法を開発する上で重要である.本稿においては,最近までに血管細胞生物学や臨床試験などで明らかにされた事実に基づき,血管病の病態と血管医学の今後の展望について私見を述べさせていただきたい.
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