文献
自動車事故の医学的考察
根岸
pp.566
発行日 1960年10月15日
Published Date 1960/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202326
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米国では1958年に37,000人が交通事故で死亡し,1,350,000人が傷害を受けているが,軽度の傷害を含めて470,000人の人が交通事故で損害を受けたことになり,全人口の10%が4年間に交通事故で何等かの傷害を受けることになる。交通事故の3大要因は,道路,車両,運転者と考えることができる。しかし,多くの場合運転者の医学的問題は無視され,道路,車両の改善がとりあげられている。著者はこの点に関して若干の考察を行なつた。営業用運転者は就職または採用時に十分な健康診断を受けねばならぬとし,45歳まで2年ごとに,以後は毎年定期検診をおこなう必要があるという。非営業運転者は3年ごと,45歳以後2年ごととしている。心疾患,糖尿病,精神神経疾患等の意識障害の突発する可能性のある疾患者などの除外を推め,若干の問診項目をあげている。性格として事故多発者に多いのは,(1)知能の低いもの,(2)若年者,(3)自己主義者,攻撃的性格,反社会性格,社会に対して無責任なもの等をあげている。また正常者の一時的な感情変動による事故,薬の効果,臨床医学的には視力,耳鼻咽喉科的項目,心血管系,物質代謝疾患,神経精神疾患,アルコール飲料などの関係について論じている。
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