Japanese
English
綜説
ミオシンモーターの力学的特性
Motor Function of Myosi Molecule
山下 尋史
1
Hiroshi Yamashita
1
1東京大学大学院医学研究科循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Faculty of Medicine University of Tokyo Graduate School of Medicine
pp.59-73
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902410
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様々な生命現象を司る分子モーター
真核細胞には分子モーターと総称される多様なタンパクが存在し,細胞の様々な運動を司っている.これらのタンパクは筋収縮,細胞移動などのマクロの細胞運動のみならず,細胞分裂,膜小胞輸送などの細胞内のミクロの運動,さらにはエネルギー産生,RNAの転写など様々な生命現象に関与している.これらの分子モーターには,ミオシンのようにフィラメント上を滑り運動するリニアモーターのようなタンパクと,プロトンの濃度勾配を利用して回転しながらミトコンドリアでのATP産生を司るFIATPaseのような回転モーターが含まれる.前者にはアクチンフィラメント上を滑るミオシンのほか,微小管上を滑るキネーシン,ダイニンや,DNA上を移動しながらRNAを転写するRNAポリメラーゼ,ヘリカーゼなどがある.これらの分子モーターに共通するのは,ATPやヌクレオチドの高エネルギーリン酸結合を加水分解して得られる化学エネルギーを,分子のコンフォメーション変化を介して細胞の様々な運動という力学的仕事に変換することである.
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