Japanese
English
特集 気管支喘息とその周辺
咳喘息
Cough Variant Asthma
小川 晴彦
1
,
藤村 政樹
2
Haruhiko Ogawa
1
,
Masaki Fujimura
2
1石川県済生会金沢病院呼吸器内科
2金沢大学医学部第三内科
1Department of Pulmonary Medicine, Ishikawa-Ken Saiseikai Kanazawa Hospital
2Third Department of Internal Medicine, Kanazawa University Faculty of Medicine
pp.545-551
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902298
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はじめに
咳喘息(cough variant asthma)は,β2—交感神経刺激薬(β2—刺激薬)やテオフィリンなどの気管支拡張薬が有効な慢性咳嗽が,唯一の症状である病態として登場した.β2—刺激薬には,咳感受性や咳中枢の抑制作用はなく1),一般的な咳嗽に対する鎮咳効果は期待できない.したがって,気管支拡張薬が有効な咳喘息の認識は,咳嗽患者の診療に極めて重要である.
咳嗽には,下気道の過剰分泌物を喀出するための生理的咳嗽としての湿性咳嗽と,喀痰を伴わない,または伴っても少量で,咳嗽が一次的である病的咳嗽としての乾性咳嗽がある(表1).咳喘息の咳嗽は,原則として乾性咳嗽であり,咳喘息と鑑別すべき慢性乾性咳嗽の原因として,アトピー咳嗽,胃食道逆流による咳嗽,薬剤による咳嗽(アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽)が本邦では重要であり,欧米では後鼻漏による咳嗽や非喘息性好酸球性気管支炎が重要視されている.
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