Japanese
English
Current Opinion
喫煙と肺疾患禁煙による効果を中心に
Smoking and Pulmonary Diseases
川根 博司
1
Hiroshi Kawane
1
1日本赤十字広島看護大学
1The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing
pp.179-183
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902243
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
喫煙と肺疾患をめぐる最近1年間の話題
喫煙と肺疾患の関係については,従来から多くの原著論文や総説が出されているし,喫煙が呼吸器だけでなく,循環器,消化器など全身の諸臓器に悪影響を及ぼすこともよく知られている,一方,禁煙することにより喫煙関連疾患のリスクが低下し,総死亡リスクも低下することが報告されている.米国や英国では,禁煙を日常診療の一部として効果的に広く取り入れられるよう,禁煙ガイドラインが作成され,その普及が進められている1,2).
最近のClinics in Chest Medicine誌に喫煙と肺および心血管疾患に関する特集が組まれているが,そのなかに「喫煙と慢性閉塞性肺疾患」3),「その他の喫煙が影響する肺疾患」4),「喫煙と女性の呼吸器の健康」5)と題するレビューが掲載され,これまでの知見がまとめてあるので大変参考になると思う.ところで,従来からの喫煙と健康リスクについての報告は,大部分がシガレット(紙巻きタバコ)に関するものであった.最近,米国においてシガー(葉巻)喫煙が成人と青少年の両方で増えていることが指摘されている.葉巻は紙巻きタバコよりも毒性物質や発癌物質を多く含んでおり,葉巻喫煙は肺癌,口腔・咽頭・食道の癌を引き起こすだけでなく,慢性閉塞性肺疾患(COPD)や冠動脈性心疾患のリスクを高めることが示された6,7).すなわち,喫煙者が紙巻きタバコから葉巻に切り換えても,健康上の根本的な解決策にはならないわけである.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.