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Current Opinion
気管支喘息の病因と診断—タキキニン,ブラジキニンおよび小児気管支喘息とRSウイルス気道感染
Pathogenesis and Diagnosis in Asthma
吉原 重美
1
,
有阪 治
1
Shigemi Yoshihara
1
,
Osamu Arisaka
1
1獨協医科大学小児科
1Department of Pediatrics, Dokkyo University School of Medicine
pp.837-841
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902145
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気管支喘息の病因と診断をめぐる最近1年間の話題
気管支喘息の病態は,単に抗原抗体反応の結果肥満細胞から放出される化学伝達物質に基づく気管支平滑筋収縮のみで説明されるだけではなく,最近,好酸球を中心とする炎症細胞による気道炎症に起因していることが明らかになってきた.また,特異的抗原刺激によるアレルギー性炎症のほかに,ウイルス感染,タバコの煙,冷気などの非特異的刺激の炎症によっても気道過敏性が亢進する.1995年のNHLBI/WHOの「喘息管理・予防のグローバルストラテジー」1)に,気管支喘息の気道閉塞や気道過敏性亢進は,好酸球,T細胞(Th2),肥満細胞など多くの炎症細胞浸潤が関与し,それに基づく慢性気道炎症が原因であることが定義されている.この慢性気道炎症により,気道粘膜上皮が傷害され,気道知覚神経過敏や気道壁リモデリングを生じ気道過敏性が亢進する.
本稿では気管支喘息の病因と診断をめぐる最近1年間の話題として,慢性の気道炎症に基づく気道粘膜上皮傷害により,知覚神経末端から放出されるタキキニンおよび知覚神経を活性化する作用のあるブラジキニンが起こす神経原性炎症を中心に要約する.
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