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弁膜症をめぐる最近1年間の話題
昨年末にACCとAHA合同のガイドラインシリーズの一環として「弁膜症の治療に関するガイドライン」が発表された1).英文で103頁にわたる力作で,疾患毎に既報の心エコー,心カテーテル検査のガイドラインをまじえながら実に多数の文献をもとにまとめられている.この種のガイドラインの場合,人種差について考慮しながらわが国の診療の参考にすべきではあるが,基本的考え方を理解するには非常に有用である.このガイドラインの基本は自覚症状をNYHA心機能分類によっていること,症状が無いか軽度の場合は運動負荷による反応をみることを積極的に勧めている点である.NYHA心機能分類が治療方針決定の適切な判定基準になるかどうか異論はあるが,一定の方向を示す基準として用いることはやむを得ないと思われる.なお,このガイドラインはACCとAHAのそれぞれのホームページにも掲載されていて(http://www.acc.org/,http://207.211.141.25/Scientific/statements/),その他のガイドラインも含めてインターネットでアクセスすれば自由に閲覧可能である.
虚血性心疾患の治療体系がカテーテルインターベンションの進歩と手術の低侵襲化の影響を直に受けたのと同じように,弁膜症の治療もこの10年間で様変わりをした.僧帽弁狭窄症に対するバルーンによる経皮的弁形成術は確立されたものとなり,純型僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術もほぼ定着した手技となった.一方,外科治療における「手術の低侵襲化」という流れは,弁膜症手術では胸骨切開線の縮小という形で表れている.またQOLを意識した新しい生体弁の開発や弁移植などの普及は,手術至適時期の見直しまで影響を及ぼしてきている.
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