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特集 循環器系薬剤を見直す—薬剤選択と用量を検証する
アミオダロンとソタロール
Practical Usage of Amiodarone and Sotalol
庭野 慎一
1
,
吉沢 直人
1
Shinichi Niwano
1
,
Naoto Yoshizawa
1
1北里大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Kitasato University
pp.1009-1012
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901977
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はじめに
臨床的な不整脈に対し,古典的には強力な不整脈抑制作用を示すNaチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)が用いられ,不整脈の抑制自体が治療の目標とされてきた.しかし,The Cardiac Arr—hythmia Suppression Trial(CAST)1)において,I群薬による治療がプラセボ群に比して生命予後を悪化させるという衝撃的な結果をみるに至り,不整脈の治療目標は致死的不整脈の発生を予防し,生命予後を改善することへと変貌してきた.このようなI群薬の限界が示される一方で,Kチャネル遮断作用を主としIII群抗不整脈薬に分類されるアミオダロンが心筋梗塞後の不整脈患者の予後を改善させるという報告(Basel antiarrhyth—mic study of infarct survival:BASIS)2)がなされ,III群薬の効果に対する期待が急速に高まった.しかし,現在までの検討ではKチャネル遮断作用のみを純粋に抽出したIII群薬では必ずしも期待されたような生命予後改善効果は得られていない.現在本邦で使用可能なIII群薬剤であるアミオダロンとソタロール(d,1—sotalol)は,いずれも大規模試験で生命予後改善効果が示された薬剤であるが,ともにβ遮断作用を有し,またアミオダロンはNaやCaチャネルへの作用も併せ持つ,いわゆる多チャネル作用薬である.
本稿では両薬剤の薬理作用と臨床効果について概説し,生命予後改善のための治療薬としての可能性について述べる.
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