Topics Respiration & Circulation
分子生物学と心臓
川名 正敏
1
1東京女子医科大学循環器内科
pp.525-526
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901700
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■最近の動向 近年心血管系の領域でも新しい手法を用いた分子レベルの解析が進んでいる.本稿では,特に最近進歩の著しい(1)心筋細胞・心臓の発生と分化,(2)負荷に対する心筋細胞の適応,(3)炎症性サイトカインと心筋障害の分野について解説し,1997年に発表された主な論文を紹介する.
(1)心筋細胞・心臓の発生と分化
細胞や器官が分化する際にはある種の細胞外因子が細胞膜の受容体に作用し,それがシグナルとして細胞質内を伝わり核内で転写因子を活性化して細胞特異的な遺伝子発現を調節していく.心臓でも細胞分化や器官形成に重要な役割を果たす転写因子が次々に同定された.これらの代表がCsx/Nkx 2.5, MEF 2, HAND, GATA 4(文献参照)などであり,これらの遺伝子の単離とともにこれらの蛋白を特異的に欠損させたノックアウトマウスの作製・解析により,その心臓発生に対する役割が明らかになっている.
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