Japanese
English
特集 慢性心筋炎—診断のガイドライン提示とその後の展開
ヒト慢性心筋炎の剖検所見
Autopsy Findings of Chronic Myocarditis in Human Beings
森本 紳一郎
1
,
平光 伸也
1
,
植村 晃久
1
,
久保 奈津子
1
Shin-ichiro Morimoto
1
,
Shinya Hiramitsu
1
,
Akihisa Uemura
1
,
Natsulco Kubo
1
1藤田保健衛生大学医学部循環器内科
1Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, Fujita Health University School of Medicine
pp.431-436
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901684
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はじめに
一般に炎症性疾患では,急性と慢性の両期があり,心筋炎でも急性以外に慢性心筋炎が存在するであろうことは,一部の研究者1)の間で考えられていた.
しかし慢性心筋炎は,1940〜1950年にかけて本症を忌避するという歴史的な経緯2)があり,本症の多くが拡張型心筋症の中に包含されてきた.
したがって,国際的に認知された疾患単位ではなく,特にアメリカでは否定的な意見が多い.しかし剖検心の検討1,3,4)などで,本症が存在することについては,もはや疑う余地のないところであり,このような状況下で1996年日本循環器学会学術委員会(班長:戸嶋裕徳教授)により慢性心筋炎診断のガイドライン5)が提示されたのである.
本稿で求められているのは,その剖検所見であり,本邦で報告されたヒト慢性心筋炎の剖検例の文献的検索を行い,その特徴について解説を試みる.また前述のごとく,本症は拡張型心筋症のなかに混在している可能性があり,生前拡張型心筋症と診断されていた剖検例における本症の頻度についても併せて検討を加える.
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