Topics Respiration & Circulation
ANP(arterial natriuretic peptide)
井上 真由美
1
,
全 泰和
1
,
伊藤 裕
1
,
中尾 一和
1
1京都大学医学部臨床病態医科学・第二内科
pp.107-108
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901634
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■最近の動向 ナトリウム利尿ペプチド系は3種類の内因性リガンド,ANP(arterial natriur—etic peptide),BNP(brain natriuretic peptide),CNP(C-type natriuretic peptide),および3種類の受容体GC-A(guanylate cyclasem-A),GC-B(guanylate cyclase-B)およびC受容体から構成される.ANPとBNPは主に心房と心室からそれぞれ分泌され心臓ホルモンとして働くのに対して,CNPは,血管内皮細胞から分泌され内皮由来血管弛緩因子EDRFとして作用する.ANPとBNPは体液量や血圧調節に関与し,心臓の前負荷と後負荷を軽減する.また,最近ANPおよびGC-Aノックアウトマウスの検討より,ANPとBNPの血圧調節における生理的意義が明らかにされた.CNPは血管平滑筋細胞のフェノタイプを変化させ,血管リモデリングに関与している。このように,ナトリウム利尿ペプチド系の高血圧症,心不全,動脈硬化症,あるいは腎疾患の病態生理への関与が示唆される.ナトリウム利尿ペプチド系の臨床応用は現在活発に行われている.血中ANP, BNP濃度の測定は,心不全や心肥大,急性心筋梗塞の評価に有用である.またANPの投与は急性心不全の治療に効果的である.さらにNEP(neutral endopeptidase)阻害剤の慢性心不全や,高血圧症患者への投与については現在臨床治験中である.
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