Topics Respiration & Circulation
肺のマイクロメカニクス
三嶋 理晃
1
1京都大学胸部疾患研究所臨床生理
pp.105-106
発行日 1998年1月15日
Published Date 1998/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901633
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■最近の動向 肺のマイクロメカニクスの最近の動向としては,2つの流れがある.1つは,小さな動物のメカニクス測定である.犬などの中型動物に比べて,マウスのような小動物は安価であることに加えて,様々な病態モデルが作成されていることより,そのメカニクスを測定することが強く望まれていた.しかしながら,小動物においては1回換気量が大変小さいため,piieumotachoでは正確な流量の測定が困難であった.これに対して,最近,2つの新しい方法が実用化された.1つはHiraiらが開発したreference boxの圧を測定する方法で,もう1つはShuslerらが開発したサーボモーターを使用する方法である.ここでは前者を紹介する.次の流れは,肺の極めて狭い末梢領域のメカニクスを測定することである.従来,この領域の測定には,肺表面に小孔を開け,その部分の圧を測定する肺胞カプセルオシレーション法が用いられてきた.しかしながら,末梢気道抵抗の評価に際して必要なカプセル下の気流量は,口における流量が末梢に均等に分配されていると仮定して計算するために,気道抵抗の不均等分布が存在するときには,その定量評価は困難であった.これに対して,Daveyらは,肺胞カプセルにスピーカーを装着し,小孔を通じて圧波を肺に送り込み,カプセル下の圧・流量を直接測定することにより,肺末梢気道抵抗や組織弾性抵抗を直接測定する方法(マイクロオシレーション法,もしくは肺胞カプセルオシレーション法)を考察した.この方法を用いて様々な病態における,肺末梢組織のメカニクスの反応が報告されおり,ここではそのうち2編を紹介する.
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