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■最近の動向 1973年以来,局所進行切除不能のIII期非小細胞肺がんに対しては60Gy以上の胸部放射線療法が標準治療とされ,一般的に受け入れられてきた.しかし,その5年生存率は3〜10%と長期生存は期待できず,胸郭内病変の再発や全身転移を生じて局所制御に関係なく死に至っていた.1983年にRTOG(Radiation Therapy Oncology Group)は多分割放射線照射法(1回1.2Gy,1日2回照射,総線量69.6Gy)が1日1回の標準照射法(60 Gy)より有効であったとし,1984年にCALGB(Cancer and Leukemia Group B)は標準放射線療法と化学療法+放射線療法併用を比較して,後者で生存率が良かったと報告した.その後10年間に化学療法+放射線療法の臨床比較試験が各国で行われたが,その結果は一定ではなく,NCCTG(North Central Cancer Treatment Group),フィンランド,SWOG(Southwest Oncology Group)の研究では有用でなかったとしており,一方CALGB,フランスでは有用であったとしている.また,これらの同時併用においてもEORTC(European Organization for Research and Treatment of Cancer)では有用としたが,イタリアの研究では有用でなかったとしている.このように化学療法+放射線の有用性についてはまだ一定の見解が得られていない.
ここでは,切除不能のIII期非小細胞肺がんにおける化学療法+放射線療法併用の端緒となった1984年のCALGB研究のその後の経過観察についての報告,同じくその初期報告に基づいて行われたRTOG-ECOG共同研究について,さらにこれらを含む併用試験についてメタアナリシスを行い,有用性を検討した報告について述べる.
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