Japanese
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特集 呼吸循環系の順応と適応
神経性循環制御系の適応と順応—特に低酸素環境
Adaptation of Neural Cardiovascular Control System during Hypoxia
二宮 石雄
1
Ishio Ninomiya
1
1攝南大学(広島国際大学開設準備室)
1Setunan Universitv (Hiroshima International University)
pp.959-964
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901566
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はじめに
正常および異常環境下のヒトや動物の心拍数,毎分心拍出量,動脈血圧,各臓器への血流配分は三つの主要な調節機構(自己調節,液性調節,神経性調節)によって決定されている.これら三つの調節機構は,独立的に,あるいは相互に関連しながら働いているが,特に神経性調節1,2)は急速な体内外環境変動に対して反射性および中枢性に循環機能を制御し,適応させるために重要である.
循環の主要な役割は酸素の運搬である.したがって,急激に低酸素を負荷した異常環境下で肺循環や体循環が変化する場合,神経性調節系がどのように関与するかは極めて興味ある問題である.最近,全身性低酸素負荷時にみられる肺血管口径変化3)や肺交感神経活動4)の応答が研究された.また,高地の低気圧低酸素環境へ急激に曝露した時,血中ヘモグロビン濃度は増加し血漿量は減少することが報告され5,6),腎血流や腎機能の変化が腎交感神経活動の増加により起こることが報告された6).長期の低酸素負荷環境への順応として化学受容体の酸素濃度に対する感度の変化も報告された7).以下,低酸素負荷環境下での神経性循環調節について述べる.
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