Japanese
English
特集 制御からみる呼吸と循環
呼吸機能の変化と肺血流分布調節
A Change in Pulmonary Function and its Relation to Pulmonary Blood Flow Distribution
桑平 一郎
1
Ichiro Kuwahira
1
1東海大学医学部第2内科
1Department of Internal Medicine II, School of Medicine, Tokai University
pp.651-657
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901510
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はじめに
体循環系と異なり低圧系である肺循環系は,自律神経系および各種体液性因子による能動的調節に加え,心拍出量,左房圧,気道内圧,肺間質圧などの変化,さらに重力の影響により絶えず受動的な調節を受けている.これら能動的,受動的な調節の結果,最も効率よくガス交換が行われるよう,局所血流分布は換気分布とマッチするよう制御されている.しかし,個々の能動的,受動的調節因子が,どの血管に対してvasoconstrictiveあるいはvasodilativeに作用するかという血管生物学的研究が進む中で,over-allとして換気血流比がどのように変化し,如何にガス交換が良好に行われているかという,呼吸生理学的に最も重要な課題を解明するには至っていないのが現状である.
本稿では,呼吸機能と肺循環機能の関連,相互の影響という点から,特に究極の状態である酸素欠乏の状態,すなわち急性ならびに慢性低酸素状態で,肺循環動態,肺血流分布が如何なる制御を受けるかに焦点をあて,現時点で明らかとなっている肺血流分布の調節について考察する.
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