Japanese
English
特集 制御からみる呼吸と循環
循環障害と呼吸制御系の安定性と振動
The Influence of Circulatory Disturbances on the Stability and Oscillation of the Respiratory Control System
越久 仁敬
1
Yoshitaka Oku
1
1京都大学胸部疾患研究所臨床生理学
1Department of Clinical Physiology, Chest Disease Research Institute, Kyoto University
pp.643-649
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901509
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はじめに
生物システムの安定性や振動現象を動的システムとして解析する方法には,大別して二つの考え方がある.一つは,Wienerのサイバネティクス(Cybernetics)1)に端を発する生物を制御機械とみなす制御理論であり,1954年にGrodins2)によって初めて呼吸フィードバック制御系に応用された.この手法はGrodins門下生によって大きく発展し,後述するKhooのモデル3)も生み出している.もう一つは,生物システムの振動現象を非線型動的システムの生み出す周期運動とみなす考え方である.非線型動的システムの周期性運動に関しては,既に1880年代にPoincareによる研究4,5)があるが,生物系への応用は比較的新しく,1970年代に入ってからWinfree6)やMackey and Glass7)を中心に進められた.最近この分野は非常に注目されており,“カオス”や“フラクタル”といった言葉は一種流行語となっている感がある.
本稿では,生理学的知見を基に,この二つの考え方によって,循環システムが呼吸制御系の安定性と振動現象にどのように関わってくるかについて考察する.
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